公開日:2019/05/07
更新日:2020/11/24
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シュートとは右対右、左対左のシチュエーションで打者に対して内角を意識させるツーシームと同じ役割を持つボールです。
インコースを意識させることによってアウトコースの変化球を有効にする。
特にスライダーを得意としている投手が投げることによって大きな武器となるボールなのです。
そんなシュートの中でも今回紹介するカミソリシュートはスピードが速くて変化も大きく、かつキレの良いシュートです。
カミソリシュートと言えば平松正次氏(元大洋ホエールズ)の代名詞として有名で、平松氏が1969年の春季キャンプの投球練習中に先輩選手に❝大したことない❞と言われカッとなって社会人時代に教わったシュートを全力で6球投じたときに本人も驚くほどの鋭い変化をしたそうです。
この6球でカミソリシュートが誕生しました。
そして3年目の1969年、それまで通算8勝の投手がいきなり14勝を挙げ頭角を現し、翌年の1970年には25勝を挙げ最多勝、1971年も17勝で2年連続最多勝を獲得。12年連続で二桁勝利を挙げるなどエースとして勝ち星を積み重ねて通算201勝達成し名球会入りを果たしました。
FRONT
指をどこの縫い目にもかけない。
SIDE
親指はまっすぐ。
BACK
どこの縫い目にも指をかけないノーシームの握り。
ワンテンポ身体の開きを早くしてインステップしてそのまま投げます。
このときに腕をひねったり、親指や人差し指を押し込むという感覚はありません。
利き腕方向に鋭く食い込みます。
スピードがない投手ほど覚えるべき変化球です。
ツーシームを投げるときに人差し指の力の入れ具合に苦労している方は多いと思いますが、このカミソリシュートは身体の開きをワンテンポ早くして投げるだけなので簡単に変化すると思います。
強打者ほどボールに対して踏み込んできます。
そこに内角へ食い込むシュートがあると意識するので思い切り踏み込めません。
内側に食い込む変化球があるだけで、キレのないスライダーでも生きてきます。
いつシュートが来るか分からない、そう思わせるだけで十分、それがシュートなのです。
ちなみにカミソリシュートでおなじみの平松正次氏(元大洋ホエールズ)は風邪をよく引いたり故障が多く「ガラスの平松」と呼ばれることがありましたが、このシュートを投げることによる故障は1度もなかったそうです。
これは腕を無理やり内側にねじるのではなく、意図的に身体の開きが早くすることによって腕が遅れて振られるからです。
私もツーシームを覚えるまではこのカミソリシュートを参考にして投げていました。